消費税法改正まで残り、2ヶ月余りとなりました。

今回は、消費税改正における経過措置について、簡単に説明させていただきます。

消費税の経過措置とは、簡単にいうと「消費税率変更の前後にまたがる取引について、税率をどのように取り扱うか」を規定するものです。

経過措置が適用されないものについては、新税率10%が適用されることになります。

経過措置の適用をするかどうか判断する上での基準日として、「指定日」と「施行日」があります。

指定日:経過措置の適用を受けるための契約締結の期限日(平成31年4月1日)

施行日:新税率が開始される日(令和元年10月1日)

経過措置には主に下記のようなものがあげられます。

(旅費・運賃等)
電車の回数券やセミナー等の前売券などが該当します。令和元年9月までに購入したものについては、旧税率(8%)が適用されることになります。

(通信・電気料金等)
電気や通信費などの中には、いつからいつまでという請求期間が区切られていないものもあります。その場合、令和元年10月31日までに支払料金が確定するものについては、旧税率(8%)が適用されることになります。

(建物の賃貸等)
たとえば、賃貸契約は2年更新で解約する場合は更新日の1ヶ月前という契約が一般的に多いかと思います。この解約申出期限が指定日(平成31年4月1日)より前か後によって、施行日(令和元年10月1日)以後の家賃にかかる消費税率が異なってきます。
指定日(平成31年4月1日)よりも前だと経過措置の適用がありますが、指定日(平成31年4月1日)以後に解約申出期限日が来ている場合は、施行日(令和元年10月1日)以後の税率は新税率(10%)が適用されることになります。

(資産の貸付け等)
指定日よりも前に締結された契約に基づいて、令和元年10月1日より前から、同日以後も続けて貸付けをおこなっている場合、旧税率(8%)が適用されることになります。(ただし、一定の要件に該当するものに限る)。

(請負工事等の取り扱い)
指定日(令和元年3月31日)までに締結された請負契約(住宅建設や機械装置製造等)で、令和元年10月1日以降に引き渡しが行われるものについては、旧税率(8%)が適用されることになります。

たとえば、平成31年4月15日に住宅建設の請負契約を締結し、令和元年11月30日に引き渡した場合は、契約締結日が指定日よりも後なので、新税率(10%)が適用されることになります。

あるいは、平成31年3月15日に住宅建設の請負契約を締結し、令和元11月30日に引き渡した場合は、契約締結日が指定日よりも早く、引き渡しが令和元年10月降なので、経過措置が適用されることになり、旧税率(8%)となります。

つまり、指定日までに請負契約をすれば旧税率(8%)が適用されることになります。

このように、各種取引日によって施行日(令和元年10月1日)以後の税率が混在していくこととなりますので、現在契約中の取引日や施行日、指定日(平成31年4月1日)を確認していただき、施行日以後の消費税処理が正しく行えるように、準備していく必要がございます。