税務上、役員給与あるいは役員賞与には金銭で支給されるもののほかに、実質的に役員に給与を支給したと同等の経済的効果をもたらすもの(経済的利益)も含まれます。
経済的利益による給与認定を受けた場合、法人税、所得税等の課税関係が生じることとなりますので注意が必要です。
◆役員の個人的経費を会社が負担したケース
(1)役員だけの慰安旅行
役員など特定の者のみを対象とした慰安旅行は、福利厚生目的の旅行でないことから福利厚生費にはなりません。また業務遂行上必要なものと認められないことから交際費にも含まれず、役員に与えた経済的利益として役員給与とされる場合があります。
(2)役員の健康診断費用
役員のみを対象とした健康診断の費用は福利厚生費として処理することはできず、役員給与の取り扱いになります。
福利厚生費として計上するには、①役員を含む全社員が診断の対象となっている(年齢による限定は可能)、②健診内容が健康管理上必要とされる範囲内のものである、③会社から直接費用が支払われる、といった要件を満たす必要があります。
◆役員が所有する資産を時価より高く購入したケース
社長が所有する土地を地価の値上がりが見込まれる等の理由で、会社が時価よりも高い価額で購入した場合には、購入価額と時価との差額は社長への経済的利益の供与として役員賞与の取り扱いとされる可能性がございます。
逆に、会社が所有する資産を時価より低い価額で社長に譲渡した場合にも、資産の時価と譲渡価額との差額は経済的利益が生じ、役員賞与として取り扱われる可能性がございます。
その他、①会社が役員に物品その他の資産を贈与した場合②役員に対して金銭の低金利貸付けをした場合③役員に対して交際費等の名目で支出した金銭で、その使途が明らかでないものあるいは、個人的な支出なども役員給与・賞与とされる経済的利益に該当いたします。
税務調査のときに、これらを否認されて余計な税金を支払わないためにも、会計処理の段階でしっかり把握することが重要となります。