役員報酬に関する節税

個人事業者は、自分の所得分は経費に算入できませんが、法人は社長の役員報酬を損金に算入できます。

この場合、社長個人には所得税が課税されますが、「給与所得控除」がある分、一般的には節税となります。ただし、原則として役員報酬を改定できるのは決算日の翌日から3ヶ月以内に開かれる定時株主総会で決議することになり、毎月の定額給与となります。

役員報酬は、損金算入できるので会社の節税にもなるし、個人事業者の場合と比較しても、社長個人の所得税の節税になります。
役員報酬は、会社の法人税と社長の所得税のバランスを考慮しながら設定する必要があります。

ただし、年収1,500万円を超える場合の給与所得控除額の上限は245万円となりますので、注意してください。

会社が社長から土地を借りる節税

社長の土地を会社に貸すときは「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出すると、会社が任意に地代を設定できるので、会社と社長にとって節税となる。

社長の所有地だからといって安易に社長の会社名義で建物を建てると税務上問題が出る場合がありますので注意が必要です。

つまり、借地権利金の支払いの行われることが慣行となっている地域において、社長の個人所有の土地の上に建物を建てた場合、税務上権利金の認定課税の問題が発生する可能性があります。すなわち、賃借人が会社の場合には受贈益(法人税)として課税されることになります。

具体的には、相当の地代(土地の更地価額×6%)の収受がない場合及び地代を受け取る場合でも受け取る地代が相当の地代より少額の場合に権利金の認定課税を受ける可能性があります。

対策としては「土地の無償返還に関する届出書」を地主の納税地の所轄税務署長に提出するか、相当の地代を収受することが必要になります。

権利金や相当の地代を支払わなくても、将来無償で土地を返還するということであれば、借地権は法人に移っていないということになるのです。

つまり、「土地の無償返還に関する届出書」を提出する場合には、権利金の認定課税がなく、実際に収受した地代についてだけ不動産所得が課税される。

さらに、相続があった場合に、「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権および個人の所有する土地の評価について考えてみると、借地権の評価額は0円となります。

そして、個人の土地(貸宅地)については、自用地としての価額の100分の80で評価することになります。

なお、個人の土地(貸宅地)の評価が、100分の80になる理由として、その土地が相続のときにすぐに無償返還されるわけではないことから、評価減をすることができるという考えです。

なお、この場合、土地を借りている法人の株価評価の計算においては、その土地の自用地としての価額の 20%に相当する金額を、純資産価額に算入して計算することになります。

この理由も、その土地の価額が個人と法人を通じてきっちり100%となることが、課税の公平上、望ましいと考えられることによるものです。

ただし、使用貸借契約における無償返還届を提出されている場合の土地に係る貸宅地の価額は、土地の自用地としての価額によって評価することになっています。